歯科医師を志したきっかけ

私が歯科医師を志したのは、中学生時代のある出来事がきっかけになっています。あるとき歯を折る怪我をして歯科医院に駆け込んだのですが、そこでは「忙しいから」と治療を断られてしまいました。ところが母が別の歯科医院に問い合わせたところ、「すぐに来てください」と言ってくれる歯科医師がいたんです。「同じ歯医者なのに、こんなに対応が違うものか」と、そのときの経験は深く心に残り、「困っている人をちゃんと助けられる歯科医師になろう」と決意したのです。
歯学部卒業後は、大学病院の第一補綴科に勤務しました。補綴を学ぼうと思ったのは、私の祖母が総入れ歯で悩んでいたことが理由でした。「歯科医になったら、真っ先におばあちゃんの入れ歯を治してあげよう」と思っていたんです。残念ながら、祖母は私が国家試験に受かってすぐに他界してしまいましたが……。しかし、補綴科で学んだ2年間は非常に充実したものでした。日中は時間が空けばいろんな治療を見学しに行ったり、夜は歯科技工のトレーニングに励んだり、歯科医療を行っていく上での基礎をしっかりと学ぶことができました。